バカラの象徴とも言われる『アルクール』は現在まで作り続けられているバカラグラスの古いモデルの中でも最古のもので、1840年に時のフランス国王ルイ・フィリップの注文により創られた儀式用グラスを原型としてデザインされ、1841年に公開されました。
力強くもエレガントでピュアー、この非の打ちどころのない完璧なグラスはナポレオン三世を初め、諸国の王室や国家元首、ヴァチカンなど世界の超VIPにも愛用され、170年以上もの長期に渡りバカラのベスト＆ロングセラーとして名実共に輝き続けてきたグラスの王者です。
因みにアルクールと名付けられたのは1920年のことで、Harcourt家はフランスの最も古い貴族に数えられる一族で9世紀から続く名家です。
本品は20世紀初頭に新たにラインアップされたアイテムの一つで、フランスではchope（ショップ）と呼ばれるタンブラーですが、現行品とはシェイプが違います。
現行品のカット部分が全体の高さの約2/3までなのに対して、本品は約3/4までありますし、底の厚さも現行品より少し薄いようです。（画像をご参照ください）
若干古びておりますが共箱入りです。

資料画像は、バカラの1916年版テーブルウェアカタログからの抜粋です。
当時はまだHarcourtという名前は付けられておりませんでした。
もう1枚の画像は、前述のルイ・フィリップ王のグラス（バカラ所蔵）です。因みに最近バカラからHarcourt Louis-Philippeという名で復刻版が出ています。

【サイズ】　高さ:14cm　口径:7cm 　重さ:約416g【年代と国】　1960年代　　フランス【サイン】　アシッドのマーク【状態】　良好。