ドームは1903年にアマルリック・ワルターをパット・ド・ヴェール制作者として10年契約で雇い入れました。
ワルターはこの10年間にドームのチーフデザイナーであったアンリ・ベルジェやシャルル・シュネデールのデザインを基にパット・ド・ヴェール作品を多数作りましたが、ワルター自身のサインが作品に入ることは2,3の例外を除いて殆どなく、完成後に彫りでDAUMのサインが入れられました。
本品もその一例で、ドーム時代のワルターの作品と思われます。

タナグラ（日本ではタナグラ人形）とは19世紀後半にギリシャのタナグラから多数出土した紀元前4世紀〜1世紀のテラコッタの小像で、ヨーロッパのブルジョワ階級に美術品として愛好されました。人気があったため偽物やコピーがたくさん作られ、本品もオリジナルは見つかりませんでしたが贋作や複製の画像は多数ネット上にありました。
資料画像は上記のようにネット上で見つけたものですが、青枠で囲ったものはDAUMの本品と同じモデルの色違いです。出典はこちらです。
因みに右上はルーブル美術館所蔵の1870年代の贋作、右下は19世紀の石膏による複製、左下は有名なNancyの陶芸家の作品の複製です。

【サイズ】	高さ:18.5cm 台座:9.8cmx5.5cm 重さ:1.32kg
【年代と国】	1904年〜1913年　　フランス
【サイン】	彫りでDAUMǂNANCY
【状態】	良好