たわわに実った葡萄が瑞々しく表現されたこの美しい大皿は、
オパルセントガラスの標本的な作品でガラスの本にしばしば
登場します。本品は『Verlux』ヴェルリュックスというサインが
ありますが、資料によると全く同じモデルで『Verart』ヴェラールと
サインされたものも在るらしいのです。
この二つの商標はいずれも1920〜30年代にパリに籍を置いた
別々のメーカーのもので、『Verlux』はS.P.I.P.というメーカー、
『Verart』はLouis LAUROというメーカーなのですが、何故
同じものが作られたのか?という謎の答えは、どうやら
マリウス・サビノが鍵だったようです。
サビノは自社工場をパリ郊外に持っていましたが、この工場の
維持費が負担になり、他のメーカーとのコラボレーションもしくは
下請けもやっていたとのことで、この作品は実はサビノの手に
なるものだったのです。
一説には『Verart』というマークは、サビノがライヴァル『Verlys』
ヴェルリスに対抗するために始めたセカンド・ブランドとも
云われておりますし、一方『Verlux』はETLINGだという説もあり、
話は更に複雑になってまいります。
何はともあれ、ブルーオパルセントが非常に良く計算されて
効果的に入った美しい大皿です。
とても大きいので、手を加えて(専門家に頼まなくてはなりませんが)
天井照明にするのも良さそうです。
【サイズ】 高さ:6.5cm 直径:35.5cm
【年代と国】 1930年代 フランス
【サイン】 型でVerlux