バカラの型物の中でもBambous torsと並んで人気のある
ロザース・ミュルティプルの金赤角形の石油ランプです。
1907-1908年版バカラ照明器具カタログ(最後の画像)には石油及び
アルコールランプの項にポータブル・ランプのページがあり、
これを見ると、化粧水用の各種フラコンをランプにリフォームした
商品を当時バカラが作っていたことが分かります。
サティネされた無色の地にシクラメンの花がエナメルと金彩で描かれた
可憐なシェードはクリスタルリー・ド・パンタン(パリの北の郊外パンタン
にて1850年代から1930年代まで続いたガラス工場で、色ガラスやエナ
メル彩、エッチングなどを用いた工芸ガラス作品が特に有名です。)で
制作されたもので、電気と併用できるタイプです。
ポータブルといっても電気の無かった時代、暗い家の中で持ち運び、
寝室の枕元に置くヴェイユーズであったと思われます。
今の日本でも停電や節電などの折に、実用的であると同時に
素敵な雰囲気をつくるお役立ちアイテムではないでしょうか?
燃料を入れさえすれば使える状態です。(使用中は火屋の上からかなり熱い蒸気が出ますので、要注意です。)
【サイズ】 高さ(シェード先端まで):26cm フラコン高さ:11.5cm
フラコン底面:7.2cmx7.2cm
【年代と国】 19世紀末〜20世紀初頭 フランス
【サイン】 本体にはありません。(型物でもフラコンやキャラフには
サインが入りません)
シェードに、金彩でPANTIN 764 モノグラムのマーク