ルーマニア出身のデメートル・シパリュス(1886-1947)はイタリアとパリで美術を学んだ後、パリで活躍したアール・デコの代表的な彫刻家です。
クリゼレファンティーヌと呼ばれる象牙とブロンズを組み合わせた彫刻でダンサーをテーマにした華麗な作品群は特に有名です。
こういった作品は有名オークションなどで常に超高額で売買され、とても当店に迎えることは叶いません。
近年では複製も多く出回っているようですが、本品は複製ではなく、シパリュス作品の当時のポピュラー版とでもいいましょうか、ブロンズの代わりにレギュールを用い、象牙なども使わずに庶民向けに作られた作品です。
二人の幼女と1匹の山羊の物語的な情景が何とも微笑ましい作品です。
金と銀に色分けてパティネされた小像が、黒い石の台座に据えられており、アール・デコ期らしいエスプリが感じられます。
美しい肢体とダイナミックなポーズのダンサーの彫刻で知られるシパリュスですが、実は子供や動物の作品も好んで手がけたようです。
子供の顔が怖い作品が多いように思えますが、本品の幼女達は可愛い顔をしております。
因みに山羊の代わりにマラブー(アフリカハゲコウ)を配したヴァージョンも存在します。
【サイズ】 | 高さ(全体):26cm 幅:41cmx11cm 重さ:4.8kg |
【年代と国】 | 1930年代 フランス |
【サイン】 | 台座に彫りでD.H.Chiparus |
【状態】 | 良好。台座の角に小さなカケあり |