ゆるくコート・ヴェニシエンヌ*がほどこされたクランベリー色のクリスタルのカップに白エナメルで水辺に腹這う男の子と思しき絵柄が描かれております。
こうした色ガラスに白エナメルで子供の情景が描かれたガラス器は19世紀末から20世紀初頭に流行し、発案者であるアメリカの女性ガラス装飾家の名前をとってマリー・グレゴリーMary Gregoryと総称されております。
ヨーロッパでは主にボヘミアングラスで多く作られ、1950年代まで続いたスタイルで、グラス類、花瓶、小瓶、小箱などがあります。
本品は目盛りがグラヴュールされており、保養地の天然水を飲むためのカップと思われます。
ほぼ消えておりますが、Brides les Bains(フランスのサヴォワ地方の温泉地)の金文字の痕跡がかすかに読み取れますので、19世紀末から20世紀初頭に大いに賑わったこの地で湯治客用に売られたものと思われます。
*ヴェニス風ストライプと呼ばれるガラス器の内側を縦縞上に軽く波打たせたスタイルで、19世紀末から20世紀初頭にかけ流行したフランスの実用的なガラス器や花瓶によく見られる手法
【サイズ】 | 高さ:6.6cm 口径:9cm 容量:250ml |
【年代と国】 | 19世紀末〜20世紀初頭 フランス |
【サイン】 | ありません。 |
【状態】 | 良好。使用による小傷あり。 |