19世紀末から20世紀初頭にかけてフランスの食卓の人気者だった
らしいビスケットジャーですが、どうやらこれはお茶菓子用ではなく、
食後のシャンパンに添えるビスキュイ・ア・ラ・キュイエールの為の
器だったようです。
このお菓子は10cmぐらいの長さのスティック状でフワッと軽く、
湿気るとスポンジケーキになってしまうし(シャルロットに使います)、
乾き過ぎると固くなってしまいます。そこでビスケットジャーの出番と
相成った訳なのですね。
今更ながら、ビスケットジャーの樽型の形やサイズが各社、
各モデルにおよそ共通している訳がやっと分かりました。
優雅ですね、昔のフランス人は。食べ物、飲物ごとにそれぞれ
専用の器を使っていたのですから・・・。
Christofleや、Puiforcatと並ぶフランスの高級銀器メーカーとして
19世紀後半から20世紀初頭にかけて有名だったSAGLIERサグリエは
数々の名品を残しています。(アールヌーヴォー期のDAUMや
LEGRASのガラスと組合わせた逸品はよく知られています。)
ガラスメーカーのサインは通常入れられないため、ドームかルグラか
常に判断が分かれるところなのですが、本品も特定できません。
ルグラ製品の中でも高級品で別格扱いされるMonjoyeモンジョワの
アシッドグラヴュール製品とDaumのそれとは酷似したものがあり、
私も決定的な違いをいまだに見つけておりません。
ただ、今までLegras製品で本品のようなサグリエのロココ風デザインの金具の付いたものは見たことがありません。
一方、Daum製品にはこのタイプの金具付きのものが多く見られます。
金具はシルバープレートですが、ほぼ落ちも無く好状態です。
あまり磨いていない状態で撮影しておりますが、磨くと光ります。
【サイズ】 高さ(ツマミ含む):17cm 胴径(最大):13cm
【年代と国】 19世紀末〜20世紀初頭 フランス
【サイン】 底に金彩でサグリエのマーク
【状態】 底の縁にチップと周辺に直しあり。