ETLING*のガラス彫刻の中でも最も美しい作品だと思います。
エトリングが抱えていたLucile SEVINという女流彫刻家の1925年の作品といわれており、
本品のような無色のサティネの他にオパルセントヴァージョン、ランプヴァージョンも作られました。
通称『イサドラ』と呼ばれており、これは20世紀初頭に一世を風靡したダンサーIsadora Duncan(1877-1927)のことです。
裸足のイサドラとも呼ばれ、バレーシューズを履かずに裸足で古代ギリシア風の薄物を纏って踊った美しいダンサーとして有名です。
この作品が彼女をモデルにしたものかどうかは定かではありませんが、確かにこのような出で立ちでこうしたポーズをとっている写真があります。
本品は正真正銘のオリジナル作品で、珍しいクリアタイプです。
資料画像はartnet.comのサイトから拝借したものです。
*Edmond ETLING(エドモンド・エトリング)は、1920〜30年代にパリに店を構え、オリジナル・ブランドの高級ガラス器や美術工芸品を商ったユダヤ系大商人でした。彼は当時の人気作家達を専属アーティストとして抱え、彼等の作品を雛型にして大手のクリスタルメーカーに発注し、自社ブランド製品として売り出したのです。ラリックの向こうを張ったオパルセント・クリスタルの型物は特に人気を博したようです。これらの貴重な型は、製作を担当したクリスタル工場が預かっていましたが、1940年ナチス占領下のパリからユダヤ人強制収容所に送られたETLING一家の誰一人として、戦後この遺産を相続すべく帰還しなかったといわれます。
【サイズ】 | 高さ:20.5cm 幅11.5cm 台座:6.2cm |
【年代と国】 | 1920年代〜1930年代 フランス |
【サイン】 | 台座に型でETLING FRANCE 50 |
【状態】 | 良好 |