四角く(正確には八角)カットされた無色透明のクリスタルのフラコンの大きな4面に格子に蔦を絡ませた図柄がグラヴュールされております。
リュバン・クロワゼ文がレリーフされた外蓋と口金は純銀製で、口にはピッタリ嵌るストッパーが付いており、高級品です。
本来はフラコン・ア・セル(塩用の瓶)と呼ばれ、炭酸アンモニウムの結晶や粉を入れる容器だったようです。
炭酸アンモニウムは強い刺激臭があり、これをアルコールや香水に混ぜたものを気付け薬(嗅ぎ塩ともいう)として用いたそうです。
18世紀から20世紀初頭まで欧米の女性はコルセットで体を締め付けていたため時々失神したそうで、嗅ぎ塩は必需品だったようです。本品のような大きな容器は自室で使われたものと思われますが、外出時には小さな携帯用容器で持ち歩いたようです。
いずれも女性用アイテムらしく美しいものが多く、また高い密閉度を要するためクリスタルなどの硬く丈夫な材質でできており、今では香水瓶やコレクションアイテムとして珍重されております。
密閉容器として何にでも使える才色兼備の器です。
【サイズ】 | 高さ(蓋含む):12.5cm 蓋直径:6.4cm 幅(最大):6.6cm 内口径:3.7cm |
【年代と国】 | 20世紀初頭 フランス |
【サイン】 | 口金と蓋にミネルヴァの刻印 (純度950/1000のフランスの銀の刻印) |
【状態】 | 良好 |