おそらく北斎漫画などの影響と思われますが、1870〜1890年代にヨーロッパで流行したジャポニズムを反映した作品には昆虫モティーフがしばしば見かけられます。
本品はその典型的なもので、大きなトノサマバッタが野菊と思しき花をバックに翅を広げている様子がユニークな造形になっております。
扇を半ば閉じたような直線的な花瓶のシェイプや台座の形なども日本風を表したつもりなのでしょう。
サティネとクリアを使い分けるバカラ独特の手法が効果的に用いられ、見様によってはえぐいデザインの花器を上品に美しく見せております。
滅多にお目にかかれない逸品です。
資料画像はGiuseppe.CAPPA著"LE GENIE VERRIER DE L'EUROPE"のバカラの項 からの抜粋です。
【サイズ】 | 高さ:21cm 開口部:10.3cmx5.3cm 台座:12cmx8.5cm |
【年代と国】 | 1878年 フランス |
【サイン】 | 台座裏に型でBACCARAT |
【状態】 | 良好。 |