クリスタルリー・ド・パンタンは、パリの北の郊外パンタンにて1850年代
から1930年代まで続いたガラス工場で、色ガラスやエナメル彩、
エッチングなどを用いた工芸ガラス作品が特に有名です。
本品はかすかに虹彩を帯びた無色のクリスタルにフランボワーズ色を
被せ、アシッドでフクシアの花を浮き彫りにした小ぢんまりと見えながらも肉厚でしっかりとした花瓶です。
どのような加工がされているのか内側は全体に不規則な凹凸がつけられており、外から見ると水滴のように歪んで見えて趣きがあります。
絵柄はアールヌーヴォー的に半ば図案化されたフクシアのパターンが
3面、連続模様となって全面にほどこされております。
口縁部に数箇所、気泡が弾けたものや加工時に入ったらしい貫通していないヒビ状の瑕やチップなどございます。
いずれも厚手の被せガラスの花瓶にありがちな制作過程での瑕と
思われますが、気泡が弾けた所は中に汚れが溜まっており、
潔癖な方にはお薦めいたしません。
最後の画像は、Berniece and Henry BLOUNT著FRENCH CAMEO
GLASSからの抜粋で、本品と同じグラヴュールパターンで形や色の
異なる花瓶が掲載されております。
【サイズ】 高さ：10.5cm 胴径(最大)：10.4m
【年代と国】 1900年頃 フランス
【サイン】 ア・ラ・ルーでCristallerie de Patin
