なんとも古めかしく珍しい初期のルイ・ヴィトンの旅行鞄です。
カバンというより、洋服箱に皮のバンドと取っ手が付いたような…
うろ覚えですが日本でも昔柳や籐で編んだ行李（こうり）という物がありましたが、それに近い極簡素なカバンです。
材質は不詳ですが、紙を硬くしたような、薄くなめした皮を膠か何か
何かで固めたような、見た目は皮っぽいけれどブリキのような
硬さがあり、防水加工もされていると思われるものです。
これがvuittonitといわれるものなのでしょうか？
パリの美術館で2010年秋から11年春にかけて開催されたLVの
展覧会では本品のような材質のものは展示されておりませんでした。
長い皮のバンドは馬車に括り付けるためのものだったようです。
刻印にはパリ、ニース、リル、ロンドンの店の住所が記されており、
ルイ・ヴィトンの海外第一号店が1885年開店のロンドンで、その後間もなくニューヨーク、フィラデルフィアと進出したことを鑑みると、
本品は1880年代のものと思われます。
今でも使用可能ですが、あまり便利とはいえません。
実用よりも歴史的価値のあるコレクション品として、或いは
お店のディスプレーとしても面白いアイテムではないでしょうか。
古き良き時代の旅へのロマンが掻き立てられる一品です。
【サイズ】 縦横厚み：40cmx63cmｘ14cm
【発行】 1880年代 フランス
【サイン】 取っ手にL.VUITTON、側面2箇所にLouis Vuittonの
ロゴと4店の住所の刻印
内側に製造番号らしき“746587”の刻印
【状態】 少し歪みがありますが、目立った瑕はありません。
